■2008.5月 NO50

記念すべき50号! 今回は丁度50号です。1998年11月に産声を上げたこのNewsの最初の頃は、ワープロで原稿を書き、写真等は切り貼りの手作業でした。第1号を見ると、その年の9月22日に伊勢湾台風並みの強さで猛威を振るった台風7号の甚大な被害状況のことが書いてありました。当日の午後、現場の建物から出るに出られなかった風雨の強さ、翌日次々にお客様から入る約30件の電話に、瓦・アンテナ・カーポート・フェンスなど応急処置をした忙しさ、緊張感、そして使命感はしっかり記憶しています。ついこの間と思っていたことが、もう10年も前のこととは・・・。当初はNewsを一人で作っていましたが、徐々に分担をし、内容も充実してきたと自負していますが、取り上げたいことはまだまだありますし、もっと面白く、楽しく、役に立つものにしていきたいと思っています。その中で、私たちの気持ちやその温度感が伝わるような手作りの紙面ということも大切にしながら。


四川大地震 5月12日に中国の四川省で起きた地震の被害はとても悲惨です。死者が6万人を超え、行方不明者も合わせ8万人を超えると発表されました。負傷者は約35万人、被災民は約4550万人と、想像を絶する数字が並びます。数字上では、死者24万人超を出した20世紀最大の被害をもたらした唐山地震(1976年中国河北省)程ではありませんが、校舎が至る所で崩壊している映像は強烈です。今回、地震から72時間以上経ってから日本の国際緊急援助隊が到着した。他国の援助隊を受け入れることが今までなかった中国が、地震国日本の経験豊富なハイパーレスキュー隊を初めて受け入れた。時間との戦いの救助にあって人命は救えなかったものの、収容した母子の遺体に整列して黙祷を捧げる彼らの姿が中国人の心を揺さぶった。国際緊急援助隊に続いて医療チームも現地に入った。日本ならではの国際貢献といえるのではないだろうか。日本に目を向ければ、この東海地方もいつ大地震が来るかわかりません。岐阜県も今まであまり進んでいなかった木造住宅の耐震化を促進するために、無料(S56.5.31以前に着工の建物)で統一のフォーマットによる「耐震診断事業」を今年度から開始しました(岐阜市、羽島市、関市、各務原市、瑞穂市などは来年以降)。しっかりした耐震補強はきちんとした診断からということですが、ご関心のある方はお気軽にお声を掛けて下さい。

エコで乗り切ろう! 電気、ガスの料金が上がり、生活必需品の物価も上がる、そして生鮮食料品を除いた3月の消費者物価は前年同月より1.2%上昇した。上がり幅は14年ぶりの記録らしい。スパゲティ26.6%、食パン10%、醤油9.2%、味噌6.3%と個別に見ればもっとすごい。原因は、小麦やトウモロコシ、大豆などの穀物の需給バランスが世界的に崩れ、価格が跳ね上がっていることが大きいらしい。そして、原油の高騰を受けたガソリン価格の上昇が日々の生活や仕事にダイレクトにひびいてきます。そんな中、夏に続いて「冬のエコ・コンテスト 」を行いました。今回トップの方は夏も2位と、エコが完全に身についています。すごいのは、6人家族の電気・ガス・水道の料金が夏に比べて2000円/2ヶ月間しか上がっていないこと。薪ストーブの威力もかなり貢献しているとは思いますが、頭が下がります。冬も“エコキュート強し”の感はありますが、比較的不利なプロパンガスでも上位に食い込み健闘された方もみえました。いろいろなアイディアが出ている「エコ・コンテスト」から、どんどんエココンシャスな暮らし方を紹介していきたいと思います。是非、皆さんのエコ工夫を教えて下さい。「エコ・コンテスト」の結果は“森のすみか展示場”にありますので、お気軽にお立ち寄り下さい。

そして、これからも 冒頭にこのNewsが50号と書きましたが、今年は会社も50年目になります。Newsは10年で50号ですが、もちろん会社は一年毎の積み重ねです。私が生まれる前からあった会社は、先々代、先代からの木が好き、人が好きというスタイルに変わりはありません。しかし、このNewsも変わったように、木材や家づくりを取り巻く状況はどんどん変わっています。そんな中で継続している取り組みに、「木工フェア」(2001年夏〜)、「緑の山再生プロジェクト」(2002年春〜)、「Jパネルの机作り」(2003年春〜)などがあります。内容は年々変化しています。これからも、今よりもっと進化させなければいけないと考えています。どうか、これからも本庄スタイルの取り組みを見て、参加して、楽しんで下さい。

 「塗装にいい季節」
 前号にも少し掲載しましたが、全国からそば通が足を運ぶ名店「そばきり 助六」(関市)さんの改修工事を紹介します。工事は外壁の塗装、アーケードの撤去、そしてトイレのイメージアップが主でした。
 かつては白く質感のある吹付けで清潔感と品があったと思われる外壁は、20年以上も通り沿いに建っていることで徐々に汚れ、触れると白く塗装が付くチョーキング現象もみられるようになり、軒下や破風の塗装も傷んできていました。そこで、外壁は温かみがあって優しく品のある黄土色の吹付けとし、アーケードがなくなるので、より壁をきれいに見せるために、今まであった木格子を窓部分だけにして、壁面を多くしました。更に、窓の木格子と同じデザインの大きな格子で二つの出入り口を囲い、明るく印象的なファサードとなりました。外部の塗装の色の組合せがとても良く、素材感のある暖簾が引立っています。
 トイレは、和式便器を洋式に換え、床は新たにいぶしタイルを、壁は樟(クスノキ)の板の目地に竹を入れ、上品な仕上がりにしました。そして、鏡の自然木の額縁と欅(ケヤキ)ののた付(耳付)洗面ボウルカウンターがとても個性的で、上質な遊び心が表れています。
 外回りには、助六さんと木工作家の山路さんがコラボして、共同施工したこれまたオリジナルの「犬矢来」もあります。関へお出かけの際にはどうぞご覧下さい!



 もうひとつ塗装について。
鮎の昆布巻きなどの佃煮で有名な泉屋物産店(岐阜市神田町)・川原町泉屋(岐阜市川原町)さんの巣南工場に、6年前に建てた「鮎の熟れ寿司」小屋は当初“柿渋”を塗りました。さすがに、6年も経つと外部の柿渋はほとんど流れて、木の自然な風合いの中に汚れも目立ってきて、今回塗装をすることに。柿渋より持ちが良く、木の呼吸を妨げず、風合いも生かしたい。そこで選択したのが、柿渋メーカーが出している“ウッドコート”という商品。“木の呼吸を妨げず水の浸入を阻害し風化腐食を防止する。又対摩耗性を向上させ、防蟻効果も高く作業が簡単”というキャッチコピーです。それにこげ茶色のベンガラを混ぜて・・・。工場で働く若者がGWの前後に頑張ったのです。誰にでも簡単に塗布できるのも自然塗料のいいところです。

6年前の柿渋塗装 6年後 再塗装

 春と秋は外部の塗装に最適なシーズンです。梅雨や台風が来る前に、一度外回りをご確認下さい。気になることがありましたら、いつでもお気軽にホームサービス専用ダイヤルまでどうぞ。

季節のメンテナンス  
○雨に備え排水溝・ためますの点検、掃除。
○湿度が低い時期に、クロス貼りや水拭き掃除を。
○風を取り入れ、除湿防カビを心がけて。
○雨漏りの箇所をチェック。
 
★住まいの不具合・ご質問等がございましたらいつでもお気軽にご連絡ください。ホームサービス専用 Free Dial 0120-71-6527《 365日 24時間 電話対応 》

 第一回 メンテ教室
 4月26日、好天に恵まれたGW最初の土曜日に森のすみか展示場にて「第一回メンテ教室」を行いました。GW中に行える住まいのメンテとして、「木の床のお手入れ」「網戸の張替え」の勉強会に、築2〜6年の5組のOBのお客様のご参加でした。
まずは、「木のメンテ」、クリーニング・掃除のプロの大澤さんから、木材の汚れの落とし方などについて説明。白木用クリーナーをスポンジにつけて、木目に沿って擦るとどんどんきれいになっていきました。次に、アイロンを使った無垢の床のへこみの直し方を紹介。マジックショーのように金槌で叩いた痕が見事に元通りとはいかなかったですが、ある程度まで戻りました。市販の補修材を使っての合板の床の直し方も説明。続いて、「網戸張替え」、まず網戸の構造・仕組みの説明、そして張替えの方法の説明と実演で、お一人一枚古い網戸を実際に直して頂きました。皆さんメモを取りながら真剣そのものでした。今後も年に2、3回行いますので、“知りたい”“教えて”という事柄があれば、ご連絡ください。

  

ちょっとになる話 『マイ箸』ブームから見る環境問題 その2〜       
 前回の割り箸の続きで、割り箸の現状とそこから見えてくることについて。
現在、日本国内での割り箸の消費は約260億膳/年(2005)で、一人当たり年間約200膳も使っていることになり、1970年代に比べて倍増です。しかし、その約96%は輸入で、そのうち98%は中国、その他はインドネシアなどの東南アジア、南米のチリなど。1970年代に輸入が始まるまでは100%国内生産されていたのに、1980年代には輸入に押されて激減、1990年代にはほとんどが輸入に取って代わった。
現在日本で使われている割り箸を生産地と種類等で分類すると、1.発祥地である主に奈良県(吉野地方)で生産されているスギ・ヒノキの残材(背板)を使って作られる高級箸(天削や利久箸) 2.5円〜数十円/膳、2.国内の北海道や中国地方でアカマツ、シラカバ、シナノキ等で大量生産体制で作られてきた大衆箸 1〜2円/膳、3.中国でアスペン・シラカバ・エゾマツ等で生産される大衆箸 0.5〜1円/膳、の3つ。しかし、23に駆逐され、ほぼ廃業状態。
 1.と2.3とは原材料が大きく違い、1.は丸太から建築用材などを取ったときに出てくる端材・残材や間伐材(低利用木材)を原料とし、2.・3は大量生産が可能な原木を丸ごと全て割り箸にしている。Bが日本市場を席巻していった背景には、中国政府が森林保護に熱心でなく木材が安価に入手可能であったことが挙げられるが、中国国内での原価上昇や森林資源保護の政策などに変化がみられ、現在では、緑化事業や植林事業が熱心に行われ森林面積は以前に比べて上昇してきている(2006年現在約18%)。
 また、使い捨てであるからこそ安心・衛生的とされ衛生箸と呼ばれていた割り箸に、防かび剤や漂白剤の問題がある。以前東京都内の料理店で使われていた製造国不明の割り箸とすし用巻き簾から、許容摂取量を超えないものの防かび剤が検出されたり、検疫所で中国産割り箸32件中7件から漂白剤の成分が検出されたりもしている。木材を日頃扱っていると木には簡単にちょっとしたカビ(アオ)が入ります。割り箸には、水分が多くカビが入りやすい白太(辺材)を使うことが多いのに、カビが入った割り箸は今まで見た記憶がない。相当の木材管理かそれなりの薬剤処理があってのことだと初めて気付きました。
 日本の森林を適切に保護して育てていく際に発生する端材や間伐材を、そのまま捨てるのは「もったいない」ということで作られていた割り箸が、価格競争のため、中国などの森林伐採・大量生産につながり、地球環境にも少なからず影響を与えるという皮肉な現実につながっているのです。その一方で、間伐材を有効活用して割り箸を生産する動きが、最近広がりつつあります。元々割り箸に罪はない筈です。私たちの今のライフスタイルの象徴でもある「大量消費・大量廃棄」を考え直し、今一度、私たちが大切にしてきた心遣いや生活の中の知恵や工夫、本当に大切なものはなんだろうかということを見つめ直す時ではないでしょうか?

「 “Change マイライフ”、その前に 」

 岐阜県は、家庭における地球温暖化対策の取り組みとして、“Change マイライフ”をスローガンに、レジ袋有料化の他、外食時に割り箸を使用せず『マイ箸』を使う取り組みや、乗り合わせや公共交通機関、自転車を利用することによりマイカー使用を自粛する取り組みなど「地球温暖化防止一斉行動キャンペーン」として、県民に広く呼び掛けています。これらの取り組みが直接的な二酸化炭素の排出削減だけではなく、今後各家庭におけるさらなる省エネルギーなどの地球温暖化対策の取り組みの呼び水となることを期待しているそうです。
 この話を聞いて、岐阜県の林政部はいったい何をしているのだと思いました。単純に割り箸を悪者にしてしまうことと、日本の林業が抱える問題の根底は一緒だとは認識していないのだと読み取れるからです。割り箸は端材商品の最後の砦です。山で伐採した丸い木の真ん中の部分だけを四角く建築材として利用しているようでは収益は上がりません。捨てるところなく商品化して初めて林業が産業として成立するのです。かつては端材から作られた木製品が身の回りにたくさんありました。今日ではそれがプラスチックなどの素材に置き換わってしまったのです。割り箸は端材の中でも小さな端材から作られたものであり、他の素材製品と十分渡りあって消費者に支持される商品です。割り箸を守らずして林業を語ることはできないはずです。
 『割り箸悪玉論』の根底には木材を伐採することは環境破壊だという考えがあるのでしょう。ヨーロッパでは林業は環境産業として認識されています。林業が盛んであれば、森林は豊かで、二酸化炭素の吸着源としてのみならず保水力も大きく、公益的機能も高いと考えられています。しかし、日本ではそのような認識はまだまだです。
『岐阜は木の国、山の国』と県民の歌にある岐阜県において、林政部が啓蒙活動を行わずして誰がするというのでしょう。環境生活部のキャンペーンに異を唱えるのは林政部しかないはずです。『ちょっとマッタ』と言うことで増える仕事や軋轢が心配なのでしょうか? もしや知識がないのでは? であるなら、ちくま新書の『割り箸はもったいない?』(田中敦夫著)をお勧めします。カバーには『割り箸が森林を破壊している、マイ箸で世界の森林を守るなどと大上段に振りかざす声は非常に不快である。それは事実なのかどうか十分に確認もせず、自らは森林破壊に手を汚していないかのような主張はいただけない。加えて、他人に強制したり無理に勧めないでいただきたい。』と刺激的な文章があります。エコロジストの独善性を差し引いても評価に値する良書です。
 岐阜市の産直住宅組合『岐阜県木造住宅センター』が、この度、岐阜の木の背板で割り箸を作り、長良川温泉の旅館組合に納品をしました。新聞報道を目にされた方も居られるのではないでしょうか。今夏、観光客の多くが『岐阜の木の割り箸』で食事をしながら鵜飼を楽しむ姿を想像すると嬉しくなります。
 岐阜県が2年越しのラブコールをメーカーに送ったことが実を結び、最大手合板メーカーが中津川市に国産材合板工場を建設し、平成22年度より工場を稼動させることが発表され、今年の1月には知事・市長・社長の三者が手を握り合う写真が新聞に掲載されました。これは『県産材流通改革プロジェクト』なる施策によるもので、この工場では年間10万Gの丸太が消費され、構造用合板が生産されるといいます。岐阜県全体で生産されている丸太の量・30万Gの三分の一にあたる量がひとつの工場に集められます。建築基準法改正後の住宅着工数減少の影響で合板需要も減り、既存の合板工場では生産調整をしている現状があります。それにもかかわらず大型工場の建設にこだわることには『徳山ダム化』を心配してしまいます。稼動後には、近隣はもとより県内製材業者の集荷難・コスト高を生み、中小業者の疲弊と衰退を引き起こすことも考えられます。この事業に税金が投入されるわけですから、行政において優秀な人間とは「予算を引っ張ってくる人間」という価値観が今なお存在しているのでしょう。“Change マイライフ”の前に、“Change ユアマインド”だろうと・・・。
 大規模な合板工場よりも割り箸工場を各市町村に設置してはどうでしょう。学校給食で地域の割り箸を使用することの方が価値ある環境教育であり、リスクも小さく費用対効果の大きい地域林業振興につながると私は考えます。

 

上述の『岐阜の木の割り箸』を同封しましたので、お試しください。


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